NY株式市場ウォッチ by ちわひ

アメリカ在住の「ちわひ」による、読めばニューヨーク株式市場の相場感覚が身につくブログです。

相場観を鍛える

毎日相場を眺めていると「金利が上がったから株価が下がる」など株価変動の原因となるニュースに出会います。

なぜ金利が上がったら株価が下がるのでしょうか?

金利が上がったら必ず株価が下がるのでしょうか?

相場の動きを理解するのに役立つ原則を紹介します。

原則1

お金が回れば(経済活動が活発化し)景気が良くなる(株価が上昇する)。

お金が滞れば(経済活動が不活性化し)景気が悪くなる(株価が下降する)。

経済活動が活性化する、というのは例えば企業が積極的に商売をし売上や利益が増えるといったことです。

企業が活動するためにはお金が必要です。

世の中のお金の流れが滞ると景気が悪くなり株価も下がります。

これが経済ニュースと株価の関係を理解するための大原則です。

原則2

景気は循環する(アップダウンを繰り返す)。なぜなら必ず調整する動きが発生するから。

景気が良ければ良くなりすぎないように調整する動きが発生します。

景気が悪ければ景気が良くなるように調整する動きが発生します。

結局そうやって景気は良くなったり悪くなったりを繰り返します。

政策金利は景気の調整の代表的なものです。

2021年3月時点で、アメリカの金利は0.25%と非常に低いので、米連邦準備理事会(FRB)は企業に気軽にお金を借りてもらい、もっと市中にお金を増やして景気をよくしていきたいと考えている事がわかります。

相場を代表するSPXのようなインデックスファンドなら、一時的に値が下げていても金利が低ければいずれは回復すると予想できるので必要以上に恐れずにすみます。

原則3

株価は予測やニュースで動き、実体経済と内容的にも時間的にも乖離がある 。

相場は様々なニュースが流れるたびに、それが現時点のことでも、未来の予定や予想でも、 情報が出た時点で織り込んで(株価に反映して)いきます。

結果的に実体経済と乖離が出る場合があります。

例えば、任天堂が人気シリーズ○○の新作を開発中というニュースが出れば株価は上昇します。

そして、実際にそのゲームが発売された日(もしくは発売日決定の発表をした日)には株価は上昇せず、むしろ「これ以上ポジティブなニュースがない」と判断され、利益確定のために株が売られ株価が下がることさえあります。

企業の決算発表もいい例です。

発表前に市場の予想が出た時点で株価は動きます。

そして実際の発表では「その予想との答え合わせ」になり、予想とほぼ同じ場合は利益が出ていたとしても「これ以上新しいニュースはない」として利益確定に動きます。

予想より悪かった場合は最悪で、利益がちゃんと出ているにもかかわらず大きく下落します。

予想を大きく超えた場合のみ新しいポジティブなニュースとして捉えられ、株価が上昇することがあります。

「噂で買って事実で売る」という相場の格言があります。

噂(推測・予測)は事実でないときもあるので内容的乖離がありますし、

まだそのことが発生していなくても株価に織り込まれるので時間的乖離があります。

原則4

お金はより魅力的な方へ集まる

相場の状況によって投資家のリスク選好(リスクオン)かリスク回避(リスクオフ)のスタンスが変わり、その結果株価が変化します。

投資対象は株だけでなく債券や不動産、金などたくさんあります。

投資家はリスクとリターンを見比べながら、資産をなにに投じるのかを決めます。

例えば投資家が景気が悪くなってきたのを感じてより安全に儲けようと株に投じていた資金を引き上げて債券に投じれば、株価は下がります。

株価は他の投資対象との綱引きの結果です。

お金はその時のムードによってより魅力的な方へ、すなわちより安全な方へもしくはより儲かりそうな方へ集まって行きます。

つまり

金利が上がれば、市中にお金が出回りにくくなるので景気を抑制しようとする動きと捉えられ、株価は下がります。
(株から資金を引き上げて金利が上がった債券に投資しようとする流れも出てきます)

逆に多少金利が上がってもそれ以上に景気が力強ければ株価の下落は限定的になったりもします。

 

適度なインフレ(物価高)につながるニュースが出れば市中にお金が出回りやすくなるので、景気を良くしようとする動きと捉えられ株価は上がります。

(インフレは時間をかけてゆっくり進行する場合はよい影響がありますが、急激なインフレは悪影響を及ぼしますので、インフレのニュースがちょうどよいタイミングか時期尚早かと取られるかは状況次第です。)

 

為替の変動は、輸出入や海外投資などに影響があります。

それによって恩恵を受ける企業の株は上がり、逆風になってしまう企業の株は下がるので、まちまちになったりします。

米ドルが弱くなれば海外の投資家がアメリカ株を買うのでアメリカにお金が増え、景気が良くなる側面もあります。

 

経済ニュースを見た時、その影響でアメリカにお金が回るか、そしてアメリカの経済活動が活発になるかどうかを考えてみれば、NY市場がどのように反応するかが推測できるようになります。

 

このような原則をある程度理解して相場を眺めていると未来を予想する力がついていきます。