資産を分配する
遺産相続
読者の中には、祖父母や両親が亡くなって、遺産相続を経験した方もいるかも知れません。
または自分の資産を遺族に相続させることを考えている方もいるかも知れません。
若い方にはなじみがないかもしれませんが、年齢を重ねればこの問題に向き合う機会が出てきます。
築き上げた資産を配偶者や子孫に残す。
それは遺された家族への愛情がベースにあるはずです。
しかし、その資産が不動産のように取り扱いが難しいものだと受け継いだ家族はとても困ります。
愛情がベースにあるはずが、家族がいがみ合う原因になる可能性だってあります。
不動産を分けられない!
たとえば不動産だけが残り、相続人が二人以上おり、お互いが譲らない場合、それを分けるには苦労します。
一人目が不動産を引き継ぎ、二人目がその評価額の半分を一人目から受け取るような形で解決するとなると、一人目は現金を用意しなければいけません。
不動産を売却し、得た現金を二人で分けるとなると、売却できるかどうかが大きな問題となりますし、売却できたとしても手間も時間もかかります。
また、金融資産と不動産が遺された場合、仮に同額だったとしても取り合いが生まれそうです。
不動産を運営しなければいけない!
実家を相続しようにも子供は遠くに生活の拠点を移しており、その管理・運営が難しい場合もあります。
もらっても困るというやつです。
このような場合も売却して現金化するという選択肢が浮上して、売却を実現することが課題となります。
また、固定資産税が毎年かかります。
評価額の1.4%です。
評価額は購入価格より低くなることが多いのでその点は少しうれしい(?)かもしれませんが、売却できなければ支払いは毎年発生します。
評価額1000万円の物件なら14万円、一億円の物件なら140万円かかります。
賃貸に出すなどして収入が発生するならなんとかなりそうですが、そうも行かないケースも往々にしてあるでしょう。
やはり流動性が大事
このように不動産などの固定資産は流動性が非常に低く、取り扱いが簡単ではありません。
対して現金や金融商品は移動や分割が容易でこのような問題はほとんどありません。
子供のために残す生家
巣立った子どもたちがいつでも帰ってこれる実家を維持したい。
その気持はわかります。
子供からすれば建物に対する思い入れも多少はあるでしょうが、両親が健在で迎えてくれることが最も大事なことです。
仮に両親が実家を売り払ってマンション住まいになっていたとしても、子どもたちは親が決めた人生だからと受け入れます。
子供の頃過ごした地域を大人になって訪問し、旧友と再会するなどの楽しみというのもありますが、それは生家が存在していなくてもできることです。
私の会社の同僚に、両親が六本木(赤坂)ミッドタウン併設の高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン東京レジデンス」に移り住んだので、そこが実家になっているという人もいます。
流動資産は前向きな資産
不動産などは「固定」資産なだけに所有者を縛り付けたり振り回しがちですが、流動資産(流動資産)は移動・管理・運営・分割が容易で、所有者に自由を与えます。
オンライン運用もできるようになったので、世界中どこにいてもアクセス可能です。
やはり流動資産はシンプルで扱いやすいと思います。
不動産を購入して資産に加えるとしても、総資産に対する固定資産の占める割合を50%以下に押さえておくのが理想だと、個人的には思います。