企業の決算がよくても株価が下がる理由
株価は実体経済の一部と考えれば、企業の決算発表の内容が良ければ株価が上がる気がしますが、現実はそうではありません。
実例
例えば決算発表を行った企業の2021/02/24の株価はこのように変化しています。
- インテュイット(INTU)が前日引け後に市場予想を上回る決算を発表し+3.53%。
- スクエア(SQ)が前日引け後に市場予想を上回る決算を発表したが、2月のCashApp部門の成長率鈍化が気にされ-7.51%。
- ロウズ(LOW)が同日寄り付き前に市場予想を上回る決算を発表したが、2021年見通しに弱気シナリオ(パンデミックが後退するにつれて売上高が減少する)が含まれたことから-3.73%。
3社とも取引時間外の発表ですが、ほとんどの企業が時間外で発表します。
取引時間内に株価が乱高下するのを嫌っているためと言われます。
そのため市場が寄り付いたときに前日終値と大きく違う値段で始まることがしばしばです。
投資は未来に対しての期待
意外に忘れがちなことですが、投資は未来に対しての期待をベースに行われます。
決算発表での事業内容や業績振り返りは、その企業の実力や底力を証明するという意味では未来への期待を抱かせる効果はあるものの、すでに終わった過去のことと考えられます。
決算発表でより大事なことは、来期(将来)の見通しです。
「これからもその企業は力強く業績を伸ばしていくのか?」
という未来についての観点が株価に大きく反映します。
決算で答え合わせ
決算発表前にすでに株を買っている人は好成績を織り込み済み(想定済み、期待)です。
そこで決算発表で好成績であることは当たり前、数値が予想通りならここまでの利益確定のために売ります。
(売ると株価が下がります。)
数値が予想より悪い場合は当然失望して売ります。
売って得た資金はより魅力的な投資先に向かいます。
利益がしっかり出ていれば企業としては合格なのでしょうが、あくまでも市場の期待値(主要証券会社のプロのアナリストの平均値)と比べて期待以下なら株価は下がってしまいます。
企業努力がストレートに反映しないなんて悲しいですがそれが株式市場の原理です。
数値が予想を超えてよければ、その勢いがこれからも続いて更なる利益をもたらしてくれると期待して保持継続する人が出てきますし、株を欲しがる人が出てきて株価は上がります。
上の例のINTUがそうですね。
しかしSQやLOWのように予想を超えてよくても、将来にネガティブな雰囲気を感じ取られると利益確定売りの流れが強まり、結果的に株価は下げてしまいます。
市場が未来を信じるかどうか
これらの原理から考えると、決算発表で赤字だったとしても(予想より良ければ)株価が上がる可能性は十分ありますし、夢のような未来を語りそれを市場が信じれば株価は上がります。
テスラのイーロン・マスク氏やソフトバンクの孫正義氏はtwitterをやっていますが、この原理を理解していることに疑いはありません。
長期視点
このように決算の内容が良くても株価が下がってしまう場合は往々にしてありますが、それでもそのような優良企業の信用は上がっていっているはずです。
長期保有するつもりならば、その優良個別株が決算で株価が大幅下落したとしても慌てる必要はありません。
大局的には株価にいい影響を与えてくれるはずですので、株価は上昇していくでしょう。